現在では夫婦の3組に1組は離婚すると言われています。
離婚をして第二の人生を有意義に送るつもりだったけど、勢いで、離婚後のことをしっかり考えずに安易に離婚をしてしまい後悔したり、こんなに苦労するんだなどと思う方は意外と多いようです。
ここでは、そんな離婚後に起こる悩みについて説明していきたいと思います。
離婚後の苦労
実は離婚を経験された方の80%以上は苦労を感じています。
■離婚をして苦労したこと
生活費 | 37.7% |
手続き関係 | 27.6% |
養育費 | 21.9% |
住居 | 21.7% |
子どもへの影響 | 17.6% |
仕事への影響 | 17.3% |
世間体 | 17.3% |
慰謝料の支払い | 12.7% |
裁判 | 10.4% |
老後の生活 | 9.2% |
老後の年金 | 6.8% |
その他 | 8.9% |
苦労していない | 16.9% |
答えたくない | 2.3% |
その中で一番苦労していることが、やはり生活費のことのようです。
「子供の養育費」についてもお金のことですので、離婚後にお金のことで大半の方が苦労しているということがわかります。
離婚後の苦労の種類を大別してみると、
・お金の悩み
・子どもの悩み
・手続き関係
のようになります。
ということは、離婚前に対処及び知っておきたいことにしても、離婚後の悩みをキチンと把握するためにも、この3点を理解しておくことが、今しなければならないことで、今できることになります。
では、それぞれを見ていきましょう。
離婚後のお金の悩み
今まで一緒に暮らしてきた二人が別々に暮らすことになるので、当然お互いにお金が必要になります。
「こんなに生活が苦しくなるのなら、我慢すればよかった」と離婚後に思う人は多いようです。
では実際にどこに苦労があるのかを見ていくことにしましょう。
住居
別居していた方は別ですが、当然、片方が住居を出て行く事になります。
家を出られる方は、新しい住居の用意と経済的に生活していけるのかをしっかり考えましょう。
実家に帰ることを選択される方も多いでしょうが、その場合でそ「仕事」や「子ども」のことについてしっかり考えておかなければなりません。
家に残る方も、家賃やローンを払い続けなければなりません。
家の広さは適当か、通勤の距離は適切か?など、今までの生活スタイルが変わったことで生じるデメリットの部分が適切かどうかも考えておかなければなりません。
また、持ち家だった方の場合は、名義に関しも注意が必要です。
仕事
特に女性の場合ですが、離婚後の仕事を考えましょう。
養育費を当てにしても相手の事情により支払われなくなることもあります。
まずは経済的に自立できるかを考がえましょう。
そして仕事を始めたら、時間の大半が仕事に取られます。
子どもがいる場合は、仕事をしている間の子どもの面倒をどうするのかを考えて、しっかり決めておかなければなりません。
財産分与
財産分与の基本的な考え方は「結婚後に夫婦で築いた財産は基本的に二分割」です。
専業主婦でも家庭を支えているので財産分与されます。
・現預金
・不動産
・有価証券(株式など)
・美術品や宝飾品
・家具
・年金
・退職金
・結婚前から所有していたもの
・結婚後に相続、贈与で得たもの
・日常的に各自が使うもの
財産分与の種類には
・清算的財産分与
・扶養的財産分与
・慰謝料的財産分与
の3つがあります。
扶養的財産分与の場合には、経済力が乏しい専業主婦、高齢者などに認められる可能性があります。
慰謝料的財産分与は、慰謝料と財産分与は本来別々が原則ですが、まとめてしまうこともあります。
ただし慰謝料には証拠が必要ですので早めに動いて証拠を押さえることが重要です。
慰謝料
慰謝料は法的に帰責すべき離婚原因がある場合だけ認められます。
例えば、暴力や不倫、モラハラなどで離婚をする場合は、慰謝料請求を行うことが出来ます。
性格の不一致などのどっちもどっちの部分がある理由では、慰謝料の請求は難しいでしょう。
・不貞行為
・暴力行為
・悪質なモラルハラスメント
・経済的な嫌がらせ
・正当な理由のない別居
・性格の不一致
・信仰上の対立
・健康上の問題
・相手親族との不和
不倫の場合・・・100~300万円。
悪意の遺棄(生活費を渡さない、無断で別居など)・・・50~300万円
暴力・・・50~300万円
性行為の拒否・・・0~100万円
※あくまで目安です、弁護士によって見解が違うこともありますので、詳細は担当弁護等にご確認ください。
離婚後の子どもの悩み
子どもがまだ成人していない場合には、親権は?、養育費は?、子どもが不幸にならないか?を真剣に考えなければなりません。
「親がなくても子は育つ」ということわざの字面だけを読んで、勝手に解釈している方がいますが、ことわざの意味は「世の中のことはさほど心配したものではない」というたとえです。
ことわざの素ネタは、生まれてすぐに母親がなくなってしまった子どもの話で、生みの親がいなくても残された子どもはたくましいもので、自分自身の力と、周囲の人の助けによって立派に成長するという意味です。
母親がいなくとも、周囲にいる人間が子供の面倒を見てくれたりすることで、その子どもが立派に成長する様を表現していることわざで、世間の人たちの、あたたかさやありがたさを表現しているのです。
自分勝手な解釈で「子どもは放っておいても大丈夫」などと思い込まないでください。
親権
子どものことを考えた時には、どちらが育てた方がいいのかを考えます。
一般的には、子どもを育てる能力の高い母親が持ちます。
しかし、経済力がない母親がきちんと育てられるのかという点も考慮しなければなりません。
母親が一人で仕事をしながら子どもを育てるのは大変な労力ですし、子どもが一人でいる時間が長くなるなど、子どもへの影響も懸念されます。
だから親権については、養育費と子どもへの影響を考慮し、夫婦で真剣に話し合いをしなければなりません。
しかし、暴力や不倫など悪質な相手の場合には、自分が親権を獲得して子どもを守ることを考えなくてはなりません。
養育費
養育費は子どもを育てる為にかかる費用のことで、親権者の生活費は含まれません。
離婚をして子どもと別々に暮らしていても、資力に応じて養育費を支払う義務があります。
養育費は法律的に、婚姻費用分担(民法760条)、夫婦間の扶助義務(民法752条)、子の監護費用(民法766条1項)の3つで定められています。
親が失業、負債またはローンなどにより、経済的な余裕がないから養育費が払えないということは基本的には通用しません。
しかし現実は、全体の80%以上が養育費を払ってもらえていないのです。
離婚後に養育費で悩まないように、夫婦で真剣に話し合いをしなければなりません。
しっかり決めていない場合には、途中で養育費の支払いが滞る事態になってしまうことが多いです。
・衣食住にかかる費用
・保育園や小学校などの教育機関に通う為の交通費
・健康を維持する為の医療費
・幼稚園・保育園〜高校・大学までの教育費
・習熟・習い事の費用
・適度な娯楽費
・毎月の小遣い
・その他教育、自立した社会人として成長する為に必要な費用
高校〜大学までの期間に必要な養育費
・学習塾、特別講習などの受講料
・家庭教師を雇うための講師代
・進学のための予備校の授業料
・私立・公立広高校(大学)の受験料
・公立、私立を含めた学校等の授業料
・テキスト、教材費
・部活動・学校のクラブ活動費
子供の幸せ
離婚後に子どもをどちらが育てるか?、養育費はどうするか?をあらかじめ考えておくことは、離婚する親の最低限の役割です。
普通に考えれば離婚はたいていの場合は悪影響を及ぼします。
一番困るのは子供なのです。
そのことを考慮して、悪質でない相手と離婚を考えている場合は、子供に背負うリスクを真剣に考えて下さい。
・成績の低下や社会的地位の低下
・精神的なトラブル
・精神病になる可能性
・子どもが結婚した時の離婚率が約3倍
・喫煙率が48%増加
・依存症になる可能性
・老化現象が一般よりも早い
・両親の仲が劣悪で教育上良くない
・子供がいるのに平気で親が夜外出する
・子供の目の前で片方の親の悪口を言う
・DVなどの家庭内暴力がひどい
・モラハラが行われている
などのケースでは子供のためになることが多いようです。
また、小学生までの子どもの感受性は大人の10倍以上と言われています。
ですから、両親の少しの変化にもすぐに気がつきます。
・どう責任をとるのか伝えてほしかった
・家族だから分かるはずという思いこみは捨ててほしい
・どうして離婚したいかをきちんと説明してほしい
・住む場所や環境がどう変わるのかを説明して安心させてほしい
などがあり、「子どもが小さいから説明をしなくても良い」という考えはナンセンスということが良くわかります。
離婚後に必要な各種届出
離婚すれば、当然、生活スタイルが変わるので、変更しなくてはならないことが一度に出てきます。
精神的にまいっていても、変更手続きしないと生活にも影響し、子どもにも迷惑がかかります。
離婚後には各種手続きがたくさん発生することを知っておいてください。
健康保険・年金の変更、加入
健康保険の加入は義務です。離婚後14日以内に、国民健康保険に加入しなければなりません。
離婚をすれば扶養が外れますので、新たに加入手続きを行ないます。
・国民健康保険被保険者取得届
・健康保険資格喪失証明書
・印鑑
・本人確認のできるもの(免許証やパスポートなど)
婚姻中に国民健康保険に入っていた場合は、「世帯変更」の手続きを行います。
また、会社勤めをしていない人は、「国民年金」の変更手続きを行います。
・年金手帳
・離婚届受理証明書(または離婚後の戸籍謄本)
・本人確認のできるもの(免許証やパスポートなど)
会社勤めであれば、「厚生年金保険」「健康保険」「労災保険」「雇用保険」などの社会保険に加入している場合は、会社にその旨を伝えれば手続きをしてもらえます。
引っ越しをする場合は、転居前の役所で一度脱会手続きをしたうえで、転居先の役所に行って新たに加入手続きをします。
会社の健康保険に入る場合には、自分の会社に依頼をすれば手続きを行ってくれます。
児童扶養手当・児童手当
18歳未満の子どもがいる場合は、離婚後に役所の子育て支援課で「児童扶養手当」の手続きをすると、収入に応じて所定金額の支援を受けられます。
離婚後に子育てに大きな力となる手当です。必ず申請しておきましょう。
・子どもの入籍届出後の戸籍謄本
・住民票
・申請者名義の預金通帳
・所得証明書
・健康保険証
就学援助
小中学校に通う子どもがいる場合は、役所で「就学援助」の申請をすると、審査が通れば学用品費や給食費・修学旅行費・医療費などの一部を支給してくれる制度があります。
・就学援助費受給申請書兼世帯票
印鑑登録
離婚により、苗字や印鑑・住所などが変更する場合には、「印鑑登録」の変更手続きもしなければなりません。
・印鑑登録カード
・新しく登録する印鑑
・本人確認のできるもの(免許証やパスポートなど)
住民票の変更
離婚によって住民票が変わるので役所へ届けます
引っ越しをする場合には「住民票異動届」を提出、世帯主が夫から自分に変わる場合は「世帯主変更届」を提出します。
・本人確認ができるもの(免許証やパスポートなど)
・国民健康保険に加入している場合は、国民健康保険証
・印鑑
生命保険等の受取人の変更
生命保険などの受取人が配偶者や子どもになっていて、受取人を変更する必要性がある場合は、早めに保険会社に変更手続きを行ないます。
子どもの転校手続き
子どもを保育園に預けて働く場合は、役所の児童福祉課や保育課などで、保育所の申し込みをします。
・入所申込書
・家庭で保育できないことがわかる書類
・収入・税額が確認できる書類
学校を変え場合には転校手続きもしなければなりません。
家や車の名義変更、各種カードの住所変更
離婚によってどちらかが家を出ていくときは、不動産や財産分与で分けた車などの財産の名義変更を行ないます。
また、「運転免許証」「パスポート」「預金通帳」「銀行のカード」「クレジットカード」など、住所や苗字の変更をする必要があるものは、速やかに変更手続きを行いましょう。
年金分割
離婚時に年金分割の約束を取り決めた後、元夫と年金事務所に出向いて年金分割の手続きをします。
年金分割請求の期限は2年以内ですが、時効になると大変なことになりますので、早めに手続きをしておきましょう。
・年金分割の合意書(または年金分割について記した公正証書)
・双方の年金手帳
・双方の戸籍謄本
・本人確認のできるもの(免許証やパスポートなど)
会社員の人は会社に離婚の報告
上司に離婚の報告をし、総務に届出を出します。
扶養控除の変更手続きなどを、会社が行ってくれます。
離婚をする前段階でしっかりと知って、前もって準備しておくことをおすすめします。
離婚後の 住宅ローンのお悩み解決
離婚時に住宅ローンの名義を変えておかないと、後からトラブルになります。
ローン1本化(借り換え)で離婚後も自宅を売らずに住み続けることができる方法をご提案します。
・引越すがローン名義が残る
・ローンが残るため売れない
・保証人をはずしてくれない
・相手がローンを払うか不安
・自宅は自分が買い取りたい
離婚・住宅ローン対策センター無料相談実施中!
・電話、メール、郵送で完結(当社への面談、来社不要)
・住宅ローン借り換えのプロ(住宅ローン診断士)が対応
・関東財務局登録の正規貸金業代理店(コンプライアンス体制完備)
>>>>>離婚・住宅ローン対策センターの公式サイト>>>>>
離婚後の再婚
離婚後の再婚については男女で違いが有ります。
男性は、離婚後すぐさま再婚が可能です。
女性の場合、離婚後100日以降(2015年12月より)でないと再婚が出来ません。
理由は、離婚後300日以内に産んだ子供は元夫との子供と推定されるからです。
離婚後の慰謝料請求は3年以内
離婚の際、慰謝料請求を取り決めていなくても、離婚成立後3年以内であれば慰謝料の請求が可能です。
もし既に離婚をして生活に困っている場合、相手に慰謝料請求を出来るような内容があれば、慰謝料請求することが可能です。
離婚後のトラブル
養育費を払ってくれない
養育費を払うことは義務です。
詳しく言うと「債権義務」で、お金を貸して返ってこないことと同じです。
諦めないで、滞っている養育費を回収しましょう。
履行勧告
養育費を受ける側が申出をすることで、家庭裁判所が支払状況の確認・勧告をしてくれる制度です。
法的な拘束力はありません。
履行命令
養育費を受ける側が申出をすることで、支払期限を決めたうえで支払いを命じてくれる制度です。
履行命令に従わなかった場合、10万円以下の過料に課せられます。
強制執行
支払者の給料や財産を差し押さえて、強制的に支払わせる非常に強力な方法です。
子供と面会させてくれない
子どもと面会する権利は離婚をしていても失われません。
離婚の際にしっかりと決めておきましょう。後で思わぬトラブルになることもあります。
面会交流
面会交流とは、「いつ」「どこで」「月にどれくらいの頻度で会うのか」といった細かい内容を離婚時に話し合いで決めます。
強制ではないので、決まっていない方もいます。
その場合には、面会交流調停の申し立てを行なえば、面会交流を決めることが出来ます。
履行勧告
面会交流で子どもと合う内容を決めたにもかかわらず、それでも合わせてくれないようであれば、家庭裁判所から「子供に合わせるように」と履行勧告できます。
間接強制
履行勧告にも応じない場合、間接強制という方法が有ります。
こちらも裁判所から「子供に合わせないと◯万円支払いなさい」と強制的に命令してもらえる方法です。
まとめ
離婚後には様々な苦労や問題、悩みが出てくることがお分かりいただけたのではないでしょうか?
暴力、異性関係、金銭問題など即刻離婚を検討すべき相手の場合は離婚をしても仕方ありません。
しかし離婚にはこのようなリスクがあることも事実です。
もう一度しっかりよく考えて決めてください。