最近では現代病とも呼ばれるドライマウスは、唾液の分泌量が低下によって口の中が乾燥し、口臭や歯周病、味覚障害、舌の痛みなどを引き起こします。
しかし、ドライマウスの原因はさまざまで、放っておくと厄介な疾患に見舞われる可能性もあります。
ここではそんなドライマウスの原因や対処法などを解説していきます。
ドライマウスとは
ドライマウスとは、唾液が減り口やのどが乾燥し、口の渇きを感じる状態が3ヵ月以上続くことを言います。
口腔乾燥症のことで病気ではありません。
高齢者は特に、唾液の量が減ったり、薬の副作用で、ドライマウスになりやすいと言われています。
高齢社会化に伴い、患者数の増加が予想されています。
ドライマウスは、唾液が分泌の低下で口の中が乾き、さまざまな不快症状が出て、ひどくなると舌がヒビ割れたり、虫歯、口内炎、味覚障害、歯周病など、ほかの病気を引き起こすこともあります。
ドライマウスの原因
加齢
加齢により唾液分泌能力が低下します。
さらに、加齢によって口の周りの筋肉や歯の衰えなどから咀嚼力が低下するため、唾液の分泌量が少なくなります。
また、全身の筋肉の衰えにより姿勢が悪くなり、猫背になりあごが前に出ると自然に口呼吸となってしまい、常に口を開けた状態になるためドライマウスになりやすいです。
女性ホルモンの低下
女性の場合、生理や妊娠・出産、授乳などで、体内の水分が減りやすく、その状態が長期間になります。
そして、女性は更年期になると女性ホルモンの分泌が低下し、それに伴い唾液の分泌量が減ります。
ストレス
唾液腺は自律神経に支配されていて、ストレスがあると自律神経のバランスが乱れ交感神経が強く働くことにより、唾液の分泌が抑えられてしまいます。
緊張やストレスが減れば唾液も正常に戻りますが、極度に緊張やストレスの状態が続けば、口の渇きが慢性化する可能性があります。
食生活
食べ物をよく噛んで、あごや舌をよく動かせば唾液は出やすくなります。
よく噛まない、早食いなどの影響で唾液の分泌は低下します。
最近は、やわらかい食品が多く食べごたえのある食品を食べる機会が少なくなったため、あごや舌の筋肉が衰え、唾液の分泌量がが減ったことも、口の中が乾きやすくなる原因です。
アルコール
アルコールを飲むと、アルコールを尿や汗で排出しようと利尿作用が働くため、体内は脱水状態になります。
アルコールの飲みすぎは、体内の水分バランスを崩し、唾液の分泌を減少させ、ドライマウスを引き起こす原因となります。
また、カフェインや糖分も口の中を渇いた状態にします。
喫煙
タバコの煙に含まれるタールやニコチンなどの有害物質により血行が悪化して、唾液の分泌機能が低下して、唾液分泌量が減ります。
薬の副作用
さまざまな薬の副作用によってドライマウスが起きます。
花粉症治療の抗ヒスタミン薬、痛みを抑える鎮痛薬、抗うつ薬や向精神薬、降圧薬や体内の水分を排出する利尿薬など、原因となる薬の種類は多岐にわたっています。
薬の添付文書の副作用の項目に「口渇」と書かれているのがこれにあたります。
高齢者にドライマウスが多いのは、服用薬が多いため、その副作用に原因があります。
ドライマウスをともなう病気
糖尿病
糖尿病は膵臓でつくられるインスリンの分泌や作用が低下し、血糖値が慢性的に高い状態になる生活習慣病です。
高血糖状態では、尿がたくさん出るため脱水状態となり、口の中が乾きやすくなります。
腎臓疾患
慢性腎不全が進行すれば人工透析が必要ですが、人工透析により体内の余分な水分が除去されるため、ドライマウスが起こる原因となる場合があります。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は、体を守る免疫異常による疾患で膠原病の一種です。
主に涙腺や唾液腺などの外分泌腺に炎症が生じ、涙や唾液などが出にくくなる病気で、口や目、皮膚など全身に乾燥がみられます。
さらに、息切れや関節痛、気分の落ち込みなどの症状があらわれることもあります。
圧倒的に女性に多く、日本での患者数は20~30万人で、発症は40~60歳代に集中しています。
関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど、他の膠原病との合併症も多くみられます。
くも膜下出血、脳出血、脳梗塞
膜下出血は、突然激しい頭痛と吐き気、嘔吐を生じ、意識を失い危険な状態になります。
脳出血は、強烈な頭痛や吐き気、手足の麻痺、片麻痺などが起こります。
脳梗塞も激しい頭痛や吐き気、体や視覚・聴覚など五感が麻痺します。
これらの脳卒中で口の周りの筋肉が麻痺し、唾液が減少するため、ドライマウスの原因になることがあります。
更年期障害
女性ホルモンの分泌が急激に減る更年期は、唾液腺は女性ホルモンの影響を受けるため、ホルモンバランスの乱れで唾液の分泌が減少し、口の渇きを感じます。
また、更年期は自律神経のバランスが乱れやすいことも影響しています。
疲れやだるさ、肩こり、のぼせやほてり、イライラや不安感などの症状がでます。
ドライマウスの予防と対処法
食べ物をよく噛む
唾液は、食べ物を噛めば噛むほど分泌されます。
ドライマウスの人は、口の中の潤いが少ないため食べ物が飲み込みづらいことから、軟らかく噛まずにすむ物を食べる傾向にあります。
しかし、軟らかい食べ物を食べてばかりいるとさらに唾液の分泌量が減り、口の周りの筋肉が衰えてしまうので悪循環になります。
唾液をたくさん分泌するには、よく噛んでゆっくり食べることが大切です。
ストレスをなくす
ストレスは唾液を出にくくします。
そして、ストレス状態が続けば慢性的な口の渇きに悩まされてしまいます。
日頃からストレスを溜めない生活をすることを心がけましょう。
良質な睡眠や運動不足解消も効果があります。
お酒は適量
アルコールには利尿作用があり、体内の水分を排出し脱水症状を起こします。
脱水症状になると、唾液の分泌量が減少してしまうこともあります。
お酒を飲む場合は水も一緒に飲むようにして、健康のためにも飲み過ぎに注意しましょう。
アメやガム、酸味のある食べ物
アメを舐めたり、ガムを噛んだりすると、口の周りの筋肉が鍛えられ唾液の分泌を促します。
また、レモンや梅干しなどの酸味のあるすっぱい食品は唾液の分泌を促します。
しかし、重度のドライマウスの場合は、刺激が強く痛みを伴うことがあるので注意しましょう。
部屋の湿度の調整
エアコンなどで乾燥した部屋は鼻や喉が乾いて、口呼吸をする原因となります。
空気が乾燥しすぎないよう、部屋の湿度には十分に気をつけましょう。
外出時はペットボトル
外出する時は常にペットボトルを持ち歩くようにしましょう。
そして口が乾いたら、常に口の中を潤すようにしましょう。
(糖分入りの飲料は虫歯や糖尿病の原因になるので、できれば水やお茶にしましょう)
入れ歯があっているか確認
噛むことがとしっかりとできていれば、唾液はきちんと分泌されます。
しかし入れ歯があわなければしっかり噛まないので唾液が十分に分泌されません。
きちんと自分に合う入れ歯をつくりましょう。
口輪筋を鍛える
唾液の分泌には、口輪筋(口の周りの筋肉)を動かすことが必要です。
口角をあげて笑ったり、口笛を吹いたり、舌打ちするなどの運動で口の周りの筋力を鍛えましょう。
また、唾液腺のマッサージも対策ができます。
ドライマウスのケア用品
洗口液(マウスウォッシュ)
口内を洗浄しながら、うるおいも与えてくれるタイプです。
あくまで歯磨きの補助的な役割をするものです。
保湿スプレー
シュッとスプレーできるタイプで、持ち運びにも便利です。
外出先で使用しやすいのが特徴です。
乾燥が気になったときに、手軽に使えるのが特徴です。
保湿ジェル
口内の粘膜に密着して、保湿の持続時間が長いのがジェルタイプです。
ジェルを指で口全体に塗ります。
この時に唾液腺も刺激されるため、唾液が出てくる対策も期待できます。
マウスピース
医療機関でその人に合ったものを作り、夜寝る時に上あごに装着して使用します。
上あごには唾液を分泌腺がたくさんあり、これを覆って唾液の蒸発を防ぎます。
夜間口呼吸防止テープ
寝る時に唇に貼り付けて口を開かなくすることで、口呼吸による唾液の蒸発を防止します。
おすすめマウスウォッシュ
ラクレッシュは広島大学の研究から生まれたL8020乳酸菌を使った新しいマウスウォッシュです。
L8020乳酸菌使用の低刺激タイプのノンアルコール洗口液で、刺激に弱いお子様やお年寄りに最適です。
L8020乳酸菌配合しているので、口臭や虫歯の予防ができます。
L8020乳酸菌は口腔内の悪玉菌だけに働く乳酸菌です。
まとめ
いかがでしたか?
ドライマウスは気づきにくい症状がとくちょうです。
「最近良く口が乾くな」と思ったら、放っておかずに病院の医師に診てもらうことをおすすめします。
もしかしたら他の病気が隠れているかもしれないので、決して軽視しないことが大切です。